AGA治療で起こる初期脱毛とは?メカニズムや適切な対応を紹介

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AGA治療を進めていると、初期脱毛が起こることがあります。「せっかく治療しているのに効果がないのでは、逆にAGAを加速させるのでは」と心配になっている方もいると思います。

そもそも、初期脱毛はなぜ起こるのでしょうか。今回は、AGA治療で起こる初期脱毛のメカニズムや対応方法について紹介します。

初期脱毛とはAGA治療の開始後に起こる症状のこと

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AGAの治療を始めると、なんとなく抜け毛が増えているように感じることがあります。これは初期脱毛という正常な治療の過程です。

初期脱毛が起こると、一般的にはAGA治療が順調であり、成功につながると考えられています。

初期脱毛の原因になり得る主なAGA治療薬

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初期脱毛は、治療に使う薬が原因で起こるといわれています。ここでは、初期脱毛の原因として考えられるAGA治療薬を3つ紹介します。

ミノキシジル

ミノキシジルは、頭皮の血管を拡張することで血流を改善し、ヘアサイクルを正常化させる薬で、外用薬と内服薬があります。血流が良くなると、発毛と育毛が活性化され、寿命を迎えている髪が抜け落ちることで抜け毛が増えたと感じやすくなる、というのが初期脱毛の仕組みです。

ヘアサイクルは、成長期、退行期、休止期の3つの期間を繰り返しています。

成長期は3年~5年ほどあるといわれ、髪の毛を成長させる期間で、早期・中期・後期の3つに分けられます。退行期は、毛乳頭の活動が弱くなることで、毛球部が徐々に小さくなる時期で、2週間~3週間かかります。休止期は毛乳頭の活動が休止する時期で、数か月続きます。

ミノキシジルを使うと、毛母細胞に働きかけ、AGAによって乱れたヘアサイクルが通常のペースに戻ります。ヘアサイクルが整うことで初期脱毛が発生することがあるのです。初期脱毛は、寿命を迎えた髪が抜け落ち、新しく髪が成長する準備をしている段階にあるといえます。

フィナステリド

フィナステリドは、前立腺肥大症の治療薬としてアメリカで誕生したものです。日本においては、2005年にAGA治療薬として販売され始めました。

効果としては、5α-リダクターゼという酵素のはたらきを阻害し、AGAを引き起こす原因となるジヒドロテストステロンの生成を抑えることを期待できます。5α-リダクターゼには、Ⅰ型、Ⅱ型があり、フィナステリドが阻害するのはⅡ型のみです。

デュタステリド

デュタステリドは、前立腺肥大症の治療薬としてフィナステリドの次に誕生し、日本においては2015年にAGA治療薬として認可されました。フィナステリドと同様に5α-リダクターゼのはたらきを阻害する効果がありますが、フィナステリドと違い、デュタステリドは5α-リダクターゼのⅠ型、Ⅱ型どちらも阻害します。これによりデュタステリドのほうが作用が強く、作用時間が長くなり、5α-リダクターゼの働きを抑える効果が高いと言われています。

治療を始めると柔らかい髪や細い髪が抜け落ちることがあります。しかし、次に新たな髪が生えてくる準備段階といえるので、治療の過程としては正常です。

初期脱毛の期間はどれくらい続く?

初期脱毛が起こるのは、個人差がありますが、AGA治療薬を使い始めて2週間~1か月頃が多く、1か月~最大3か月程度は続くといわれています。これは治療薬の副作用ではなく、薬が効いて治療が成功に近づいている証拠であるため、不安を感じることはありません。

初期脱毛の期間が過ぎると、乱れていたヘアサイクルが安定します。ヘアサイクルが安定すると、初期脱毛による抜け毛は減少する傾向にあるため、そのまま治療を続けるほうが良いとされています。

初期脱毛を副作用だと勘違いして、治療薬の使用を中断するのは避けるようにしましょう。治療によって休止期から成長期に向けて整えられていたヘアサイクルが元に戻り、抜け毛が再発することもあります。

初期脱毛が起こったときの対応

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初期脱毛が起きると、不安と驚きで心配になってしまうと思います。どのように対応すれば良いのでしょうか。いちばん大切なのは、自己判断で治療薬の使用を中断しないことです。ここでは、初期脱毛が起こったときの対応について紹介します。

頭皮マッサージをする

血行を促進するために頭皮マッサージをしましょう。血流が活性化されれば、血液に含まれる栄養が毛根に届きやすくなります。

頭皮マッサージをするときは、強く押しすぎるのはNGです。前頭筋や側頭筋、後頭筋を柔らかくするイメージで優しく揉みほぐしましょう。頭には体に影響するさまざまなツボがあります。頭皮マッサージでツボを押すことでリラックス効果も期待できます。

頭皮マッサージは髪や頭皮にとって良いことづくしですが、頭皮マッサージのやりすぎには注意が必要です。髪がさらに抜けたり切れたりする可能性もあるので、1回5分程度にとどめましょう。強く押したり激しく摩擦したりするのもNGです。

健康的な生活を送る

初期脱毛は一時的な症状なので数か月すれば収まるのですが、治療によって生えてきた髪の良い状態を維持するためも、生活習慣の改善が不可欠です。

偏った食生活は血流を抑制してしまうため、栄養バランスの整った食事を摂ることが重要です。特に、髪の主成分であるタンパク質、髪の健康維持に必要なビタミン、タンパク質の合成をサポートする亜鉛を意識して摂るようにします。

また、髪の成長を促すには、質の高い睡眠が大事です。睡眠中は髪の成長を促す成長ホルモンが分泌されるため、まとまった睡眠時間が必須です。そのため、毎日6時間以上の十分な睡眠時間を確保するようにしましょう。

髪に栄養を行き届かせるためには、適度な運動も欠かせません。身体を動かすことによって全身の血流が促進され、頭皮までに栄養がしっかり届くので、良い髪を維持することができるのです。

そのほか、ストレスを感じることで活性酸素が発生します。活性酸素は髪を作る毛母細胞に悪影響を及ぼすため、日々ストレスを溜めない生活を意識して送るようにしましょう。

飲酒や喫煙の習慣を見直す

飲酒や喫煙の習慣がある方は注意が必要です。

喫煙は血管を収縮させるため、血行不良を引き起こしてしまいます。AGA治療薬で血流を促しても、喫煙で血管を収縮させてしまうと効果は半減です。また、ストレスと同様に活性酸素が生じる原因でもあるので、初期脱毛が起きたら喫煙は控えるのがベストです。

飲酒はAGAを引き起こすジヒドロテストステロンを増加させるはたらきがあります。少量のアルコールなら問題にならないことが多いのですが、過度な飲酒は控えましょう。

また、飲酒はアミノ酸を消費してしまいます。アミノ酸は、健康な髪の原料になるタンパク質の合成には必須なので、アミノ酸が少なくなると髪にとって悪影響となるのです。

不安であれば医師に相談する

初期脱毛の程度にもよりますが、軽度の脱毛ならこれまで通り自分でケアしながら様子を見るのが一般的です。

ただし、なかには早めに対応したほうが良いケースもありますので、下記に該当する場合は専門医に相談しましょう。

  • 2か月以上抜け毛が続く場合
  • 短期間で毛量が減ってしまった場合
  • 抜け方が激しく、日常生活に支障が出る場合
  • 頭皮にかゆみや痛みがある場合
  • 頭皮に湿疹が出る場合

上記に挙げた場合以外にも、抜け毛によって精神的にダメージを受ける場合も専門医に相談しましょう。AGA治療は長期的な治療になるので、精神面でもサポートが必要です。治療と同時にカウンセリングや心理療法なども受ければ、AGA治療を乗り越えることにもつながります。

まとめ

AGA治療中の初期脱毛は、薬が効いて治療が成功に近づいている証拠です。過度に心配しなくても問題ありませんが、抜け毛が長引いたり、痛みやかゆみが強かったりする場合は専門医に相談しましょう。

また、AGA治療中は生えてくる髪の良い状態を保つために、生活習慣の改善も必要です。薬での治療と生活習慣の改善で、健康な髪を維持しましょう。

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