アンチエイジングの第一人者・日比野佐和子医師が考える、未来まで美しくいるためのポジティブサイクル
「ささいなことでイライラしてしまう……」「何をしても楽しめない……」など、メンタルの乱れにお悩みの方もいるのではないでしょうか?メンタルの不調は、健康・美容トラブルにつながる可能性があるほか、深刻化するとうつ病などに進行してしまうリスクもあります。
このような、女性特有のメンタルトラブルの解消には何が必要なのでしょうか?メンタルを安定させる方法やポジティブマインドを維持するコツについて、アンチエイジングの第一人者である日比野佐和子先生に詳しくお聞きました。
日比野佐和子(ひびの・さわこ)
医師・医学博士 / 内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医 /
日本再生医療学会認定医 / 医療法人社団康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾 統括院長 /
SAWAKO CLINIC×YS 統括院長 / 日本化粧医療学会 理事長 /
NPO法人国際医科学研究会 理事長 /大阪大学医学系研究科 未来医療学寄附講座特任准教授
再生医療・アンチエイジングの第一人者として、基礎研究から最新の再生医療の臨床にいたるまで幅広く国際的に活躍するほか、テレビや雑誌などにも数多く出演。真摯なカウンセリングで、多くのスポーツ選手や著名人にも信頼されている。著書に『幹細胞 活性化で若返り! 夢をかなえる5つの方法とは』(講談社)、『オトナ女子の「美肌」づくり百科』(ぴあ)、『最新医学で証明された最高の食事術』(講談社)、『つまり、結局何したら免疫力って上がるの?』(アントレックス)、『医者が教える すごい美肌循環』(アンノーン)など多数
目次
無理なく日常に取り入れられる!
メンタル不調の解消に効果的な3つのケア
DEMI LABO編集部 日比野先生、今日はよろしくお願いいたします。メンタル不調はよくある女性の悩みのひとつだと思うのですが、放置するよりもやはりケアすることが大切なのでしょうか?
日比野先生 そうですね。メンタルの揺らぎは誰にでもあることなのですが、「ネガティブな思考が止まらない……憂鬱な気分が改善されない……」という方は、深刻化を防ぐためにもメンタルケアに取り組むことが大切です。
「病は気から」という言葉があるように、メンタルの不調が健康・美容に悪影響を及ぼすこともあるので、できれば早めに対処したいですね。
DEMI LABO編集部 では具体的にどのようなケアに取り組むべきなのでしょうか?メンタルを安定させるのに効果的な方法はありますか?
日比野先生 生活習慣の中で簡単にできるケアとしては、以下の3つの方法があります。
・SNSと距離を置いてみる
・深呼吸を毎日行う
・適度な糖質でセロトニンの分泌を促す
それぞれについてご紹介しますね。
SNSと距離を置いてみる
メンタルが不安定な時期は、ちょっとした外的要因でイライラしたり気分が落ち込みやすくなったりします。このような時期に試してみて欲しいのがSNSと距離を置くこと。
普段であれば受け流せるはずが、タイムラインに流れてくるキラキラした他人の生活と自分を比べてしまい、自己嫌悪に陥る、無意識にストレスを抱えてしまうといったケースもあります。
メンタルの不調を感じている時期は、「SNSを見るのは1日に10分だけにする、見ないようにする」などのルールを決めるのも効果的です。
深呼吸を毎日行う
やり方はとても簡単なので、心がザワザワしたときに、以下の方法でやってみてください。
【深呼吸のやり方】
1. できるだけ心地よい姿勢をとり軽く目を閉じる(椅子に座る・ベッドで横になるなど)
2. 少しだけ頬をゆるませる
3. 鼻から吸い込み、口からゆっくりすべて吐ききる
4. ゆったりした気持ちで深呼吸に集中する
5. リラックスする流れに身を任せる
※静かな落ち着く場所で行うこと
※眠る前なら528Hzのヒーリングミュージックを流してもOK
この方法で、深呼吸だけに集中してみてください。副交感神経が優位になり、心身の緊張がほぐれてストレスが緩和します。
このほか、「幹細胞が活性化し、免疫力が高まる」といった効果も期待でき、健康・美容にも良い影響が。精神だけでなく身体にもさまざまな効果をもたらしてくれるので、ぜひ習慣にしてみてください。
適度な糖質でセロトニンの分泌を促す
ストレスを感じたときに甘いものを食べたくなりませんか?これは、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンが不足することで発生する現象です。
「太るから甘い物は食べたくない」という方もいるかもしれませんが、マインドが不安定なときに我慢は禁物。
適度な糖質を摂ることで、セロトニンが分泌され、ストレスが軽減されます。
また、少量でも満腹感が得られるので、食欲が抑制されダイエットに良い効果があることも。
「ストレスから肌を守る・腸内環境を整える・質の良い睡眠へと導く」など、健康・美容にもさまざまな効果が期待できるので、メンタル不調を感じたときは「適度な糖質オン」を意識しましょう。
DEMI LABO編集部 ありがとうございます。どの方法も簡単で、無理なく取り組むことができそうです!
日比野先生 そうですね。とはいえ、全部やろうとすると負担になる可能性があるので、「これならできそう!」と思ったものをひとつだけ取り入れてみると良いと思います。もちろん慣れてきたら複数行ってもOKです。
このほか、「寝る前にベッドでゴロゴロしながら軽くストレッチをする」「アロマ効果のあるボディケア化粧品を使ってお腹や足をさすってマッサージする」といった方法もおすすめです。
生活習慣に無理なく取り入れることができますし、簡単にストレス軽減・リラックス効果が得られます。
こうしたちょっと工夫の積み重ねでメンタルを改善しやすくなるので、ぜひお試しください。
マインド不調のときこそ「自分で自分を幸せに」
日比野先生が実践するポジティブサイクル
DEMI LABO編集部 ちなみに、メンタルが乱れて思考がネガティブになったとき、先生はどのように対処しているのでしょうか?
日比野先生 ご紹介したストレスケアももちろん実践していますが、できるだけポジティブな方向に軌道修正できるように、メンタルをコントロールしています。
シンプルですが、「考えていても事態は好転しない」という現実を受け入れて、不調を乗り越えた先の楽しいことやうれしいことに意識を向けるというイメージです。
DEMI LABO編集部 なるほど。シンプルな方法ですが、意外とそれができない方が多いのかもしれませんね。
日比野先生 そうですね。ただ、これは思考のクセのようなものです。
落ち込みそうになったときに「これを乗り越えたら○○の力がつく、成長できる」といった前向きなことを繰り返しイメージすることで、ネガティブ=成長するチャンスとポジティブに変換できるようになっていきます。
向き不向きはあると思うのですが、「考えているだけでは解決しない」「ネガティブな感情を成長できるチャンスとしてポジティブに捉える」という視点を持てば、メンタルの好不調をコントロールしやすくなっていくと思います。
DEMI LABO編集部 ありがとうございます!そのほか、マインドを好転させるために先生が実践していることはありますか?
日比野先生 自分にご褒美を与えるようにしています。ネガティブ思考に陥ったときこそ、自分を自分で幸せにすることがポイントで、例えば、気になっていた高めの化粧品を買う、アンチエイジングに効果があるサプリメントや食品にチャレンジするなど、ちょっとした贅沢で気分を高めています。
また、「化粧をするとポジティブになる」という心理学の実験結果があるように、外見が整うことで自信が増し、メンタルが好転しやすくなります。ご褒美を選ぶときは、若返り効果であったり肌の質を高めるものであったり、美容に投資するのがよいと思いますね。
このような「マインドの不調=成長するチャンスと置き換える」「ストレス・美容ケアで内面と外面を整える」といったポジティブサイクルをクセづけることで、マインドを安定させやすくなると感じています。
DEMI LABO編集部 「何をすれば自分を幸せにできるのか?」という視点で自問自答してもおもしろいかもしれません。
マインドの揺らぎは生理現象なので「自分では対処できないもの」と思っていましたが、できることはたくさんあるんですね。
日比野先生 そうですね。ただ、注意してほしいのは「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」と自分を追い込んでしまう行為です。真面目な方に多いのですが、そんな方には「今じゃないでしょ!」という言葉を贈りたいと思います(笑)。
これはとあるスポーツ選手に教えてもらった言葉なのですが、追い込みすぎて精神的につらくなったとき、「今じゃないでしょ!」を自分に言い聞かせてリラックスできる時間を設けるそうです。
ストイックなのは良いことですが、真逆の緩いマインドがメンタルを好転させてくれることも多々あります。新しくはじめたことがストレスにならないように、気持ちにゆとりを持って取り組んでください。
自分らしく豊かな毎日を過ごすために
「キレイ」を育てるエイジングケアのポイント
DEMI LABO編集部 先生のお話を聞いていて、エイジングケアなどに取り組むことが、自分への自信やポジティブマインドにつながるのでは?と感じたのですがいかがでしょう?
日比野先生 その通りですね。外見に自信が持てないとマインドが落ち込みやすくなるので、エイジングケアで「キレイを目指す」というのは、マインドにも良い影響を与えると思います。
DEMI LABO編集部 エイジングケアでは、具体的にどのようなことに取り組めばよいのでしょうか?
日比野先生 エイジングケアで意識してほしいのは「美肌は1日にしてならず」という言葉です。
どうしても即効性のある治療方法やアイテムを求めがちなのですが、残念ながらそのようなアイテムはありません。
食事や生活習慣を改善しながら、地道に生活の質を高めて、コツコツと継続することが重要です。特に私は食事を意識するようにしています。
DEMI LABO編集部 なるほど……簡単ではなさそうですが、どのような食事の仕方、栄養素が必要なのでしょうか?
日比野先生 肌は食べたものの影響をとても受けやすく、腸内環境や睡眠の質、ストレスなどの精神面にも大きく関わる重要な要素です。
また、肌トラブルの根本原因といわれる、酸化・糖化を促進してしまうこともあるので、良いものだけを摂り、悪いものは摂らないようにすることが大切です。以下の4つのポイントを押さえて、日々の食事を見直してみてください。
・オメガ3脂肪酸を摂る
・食事で腸内環境を整える
・6大栄養素をバランスよく摂取する(カラフルな野菜や果物を摂る)
・白い炭水化物を控える(胚芽米や玄米、全粒粉パンに変えてみる)
これらのポイントを意識しながら食生活を改善し、睡眠・肌ケアなどの生活習慣にも取り組むことで、肌の状態を改善できると思います。
また、食事だけですべてをまかなうのは大変なので、サプリメントを組み合わせるのがおすすめですよ。
(※食事や生活習慣の改善など、エイジングケアのポイントを詳しく知りたい方以下をご確認ください)
顔の印象を変えてしまう?
エイジングケアにおける「地肌ケア」の重要性
DEMI LABO編集部 マインド不調の中長期ケアとして、エイジングケアが効果的であることがわかりました。食事や生活習慣の改善のほかにも意識すべきことがあれば教えてください。
日比野先生 エイジングケアで見逃してしまいがちなのが「頭皮の地肌ケア」です。
地肌と顔の肌は一枚の皮でつながっているので、地肌ケアを怠ると肌にも悪影響を及ぼします。
地肌環境の悪化により、ハリや弾力が失われてしまうと、顔や首のたるみを引き起こすこともあるので忘れずケアをしてほしいですね。
DEMI LABO編集部 ありがとうございます!確かに、毎日シャンプーはするものの、そのほかのケアはあんまりやっていないかも……。ちなみに、先生のおすすめの地肌ケアはありますか?
日比野先生 地肌ケアも生活の質を高めることが大切です。また、地肌は皮脂の分泌量が多く、汚れやすい場所なので、毎日のシャンプーでしっかり汚れを落としましょう。
シャンプーというと髪を洗うイメージがあると思うのですが、大切なのは地肌を清潔にすること。地肌8割・髪2割を目安にしてみてください。また、栄養がしっかり行き届くように、血行を促進する3つのケアにも取り組んでみてください。
・血行促進に有効な成分が配合された育毛剤
・お風呂上りに地肌をマッサージする
・血行促進効果が期待されるラジオ波・EMSなどの効果を持った美容ギアを使用する
これらのケアを行うことで地肌環境を良くすることができるほか、白髪対策にも効果があります。エイジングケアの一環としてぜひ取り組んでみてください。
(※食事や生活習慣の改善など、エイジングケアのポイントを詳しく知りたい方以下をご確認ください)
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まとめ
何をしていても気分がすぐれない……ささいなことでイライラしてしまう……という方は、メンタルが不安定になっている恐れがあるので、ぜひ今回ご紹介した3つの方法(SNSから離れる・深呼吸・適度な糖質オン)を試してみてください。
また、日比野先生のポジティブサイクルによるメンタルコントロールや自分の「キレイ」を育てるエイジングケアに取り組むのもおすすめ。ご紹介した中から自分に合ったものを選び、対処が難しいメンタル不調の改善に活用してみてください。