【医師インタビュー】女性ホルモンが減る原因と肌と髪の美しさを維持する3つのケアを、アンチエイジングの第一人者・日比野佐和子医師に聞いてみた

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体調不良や肌の乾燥、髪質の変化など、原因がわからない健康・美容トラブルにお悩みではないですか?
もしかするとそれは、女性ホルモンの減少によるものかもしれません。

原因不明の健康・美容トラブルに対処するには、女性ホルモンの働きを理解し、適切なケアに取り組むことが大切です。そこで今回は、アンチエイジングの第一人者である日比野佐和子先生に、女性ホルモンの働きやケアについて詳しくお聞きました。

日比野佐和子医師

日比野佐和子(ひびの・さわこ)

医師・医学博士 / 内科医、皮膚科医、眼科医、日本抗加齢医学会専門医 /
日本再生医療学会認定医 / 医療法人社団康梓会Y’sサイエンスクリニック広尾 統括院長 /
SAWAKO CLINIC×YS 統括院長 / 日本化粧医療学会 理事長 /
NPO法人国際医科学研究会 理事長 /大阪大学医学系研究科 未来医療学寄附講座特任准教授

再生医療・アンチエイジングの第一人者として、基礎研究から最新の再生医療の臨床にいたるまで幅広く国際的に活躍するほか、テレビや雑誌などにも数多く出演。真摯なカウンセリングで、多くのスポーツ選手や著名人にも信頼されている。著書に『幹細胞 活性化で若返り! 夢をかなえる5つの方法とは』(講談社)、『オトナ女子の「美肌」づくり百科』(ぴあ)、『最新医学で証明された最高の食事術』(講談社)、『つまり、結局何したら免疫力って上がるの?』(アントレックス)、『医者が教える すごい美肌循環』(アンノーン)など多数

20~30代をピークにその後は減少する?
女性ホルモンが減る原因とその影響

DEMI LABO編集部 日比野先生、本日もよろしくお願いします!今日は女性ホルモンの役割やケアの方法についてお聞きします。
そもそも、女性ホルモンにはどのような役割があるのでしょうか?

日比野佐和子医師

日比野先生 ホルモンは内分泌腺という部位で作られる成分で、身体の機能を整えたり、発達・維持を促進したり、健康・美容に関わるさまざまな役割を担っています。
ホルモンにはさまざまな種類がありますが、女性ホルモンと呼ばれるのは「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と「プロゲステロン(黄体ホルモン)」の2つ。それぞれは以下のような役割を担っています。

・エストロゲン(卵胞ホルモン)
女性らしい身体を作るホルモン。「乳房・子宮・膣の成長促進」「丸みのあるボディラインの形成」「肌のツヤ・ハリを整える」など、さまざまな役割を担っています。思春期を迎えると分泌量が増え、初潮を促す働きも。

・プロゲステロン(黄体ホルモン)
妊娠に関わるホルモン。排卵直後から分泌量が増加し、基礎体温を上げて子宮内膜に受精卵が着床しやすい状態にします。妊娠後は妊娠を継続させる働きを担っています。月経前に食欲が増加したり眠気が強くなったりするのも、プロゲステロンの分泌による影響です。

これらのホルモンの分泌は、月経周期や加齢に合わせて増減を繰り返します。分泌量は、20代後半~30代前半がピークで、その後は少しずつ減少していきます。

DEMI LABO編集部 「女性ホルモンは増減を繰り返す」「30代前半以降は少しずつ減っていく」とのことですが、女性ホルモンの減少と体調不良や肌や髪のトラブルは関係しているのでしょうか?

日比野佐和子医師

日比野先生 深く関係しています。ご紹介したように、女性ホルモンは女性の心身を維持するのに欠かせない成分です。分泌量が減少すると、以下のような健康・美容トラブルを引き起こします。

【女性ホルモンの減少で発症する症状】
・頭痛・めまい・動悸・ほてり・腰痛
・不眠などの睡眠障害
・肌の乾燥・くすみ・シワ・たるみ
・無気力感・イライラ・気分の落ち込み
・無月経や月経不順などの月経異常
・抜け毛・薄毛

これらの症状は、女性ホルモンが急激に減少していく更年期(40代後半~50代)に発生しやすいことから更年期障害と呼ばれています。体調や肌への影響だけでなく、「無気力感・イライラ・気分の落ち込み」など、メンタルにもさまざまな悪影響を及ぼすので、深刻化するとうつ病などに進行してしまうリスクもあります。

(※女性のメンタルケアについて詳しく知りたい方は以下をご確認ください)

DEMI LABO編集部 なるほど。更年期以外でも、このような症状が出ることはあるのでしょうか?

日比野佐和子医師

日比野先生 20~30代の若い世代でも発症することがあります。
若年性更年期障害と呼ばれるものですね。原因は、「卵巣や子宮の病気」「過度なストレス」などのほか、過激なダイエットや過食による急激な体重の増減、食習慣や生活習慣の乱れが引き金になることもあります。
また、妊娠・出産でホルモンバランスが崩れて発症することもあるので、年代を問わずに注意が必要です。

DEMI LABO編集部 ダイエットに積極的な方も多いので、若い世代でも注意が必要ですね……。
ちなみに、髪質への影響もあるとのことですが、具体的にどのような症状が出るのでしょうか?

日比野佐和子医師

日比野先生 女性ホルモンの減少に伴って、うるおいが失われたり、毛が細くなったり、髪質にも変化が見られるようになります。
さらに進行すると、「髪が成長する前に抜けてしまう・本数が減る」といった症状につながり、抜け毛・薄毛を引き起こしてしまいます。
「FAGA(女性男性型脱毛症)※」につながるケースもあるので、美しい髪の毛を維持するためには日常のケアで対策することが大切です。

※FAGA(女性男性型脱毛症)
代表的な女性の薄毛症状のひとつ。男性ホルモンと女性ホルモンのバランスが崩れることが原因で髪が薄くなる症状。細い髪の毛が増え始め、次第に生え際や頭頂部、分け目を中心に薄くなり、地肌が露出する。症状が進むと、頭髪全体が薄くなる傾向がある。

(※女性の薄毛について詳しく知りたい方は以下をご確認ください)

女性ホルモンの減少に備える!
肌と髪の美しさを維持する3つのケアとは?

DEMI LABO編集部 女性ホルモンが減少する原因、それによってどのような症状が出るのかを理解できました。では、ホルモン減少や症状を抑えるには何が必要なのでしょうか?
先生が考えるケアについて教えてください。

日比野佐和子医師

日比野先生 肌と髪の美しさを維持するためには、日ごろの生活習慣と食習慣の改善に取り組むことが大切です。以下の3つの方法でイキイキとした肌や髪をキープしていきましょう。

1.UVケアで「光老化」を防ぐ

肌の老化は、原因の8割が太陽光の紫外線とされます。
また、見落としがちな方が多いのですが、髪も同様にダメージを受けています。
冬でも紫外線は降り注ぐので、UVケアは年間を通して行いましょう。
お肌は日焼け止めなどの基本のアイテムでしっかり保護すること、髪の毛は帽子・日傘のほか、紫外線カットスプレーなど使ってカバーしましょう。

女性ホルモンが減少すると、肌と髪の「光老化」が進行しやすくなるので、UVケアを徹底してください。

2.良質な睡眠が肌・髪を育てる

月経中から月経前の時期は、プロゲステロンという女性ホルモンの影響で眠気を感じやすくなります。
日中に中途半端に寝てしまうと、夜間に熟睡ができず、ダメージ回復に欠かせない「成長ホルモン」が十分に分泌されません。
睡眠の質が低いと老化を早めることになってしまうため、以下の方法で、毎日ぐっすりと眠れるようにしましょう。

【睡眠の質を上げる5つのポイント】
・朝一杯の白湯を飲む
眠る前に体温を下げようとする働きが正常になり、入眠しやすくなります。

・朝食には良質なタンパク質を
15時間後に睡眠ホルモン「メラトニン」に変わり、睡眠の質が改善されます。

・15時以降はカフェインレス
カフェインの覚醒効果は6~8時間持続します。睡眠に影響が出ないよう、15時以降は摂取しないようにしましょう。

・寝る1時間前には入浴を
入浴後1時間ほどで深部体温が下がり始めるので、入眠しやすくなります。

・スマホやテレビは入眠の2時間前まで
ブルーライトがメラトニンの分泌を抑制し入眠を阻害します。メラトニンの分泌を促すために、スマホやテレビを観るのは2時間前までにしましょう。

3.大豆イソフラボン+サーモン・ガゴメ昆布で肌と髪をケア

大豆イソフラボンは、美肌ホルモン「エストロゲン」と似た働きをする「エクオール」という成分に変換されます。このエクオールには、「月経周期を安定させる」「膣まわりの伸縮性や自浄作用を高める」「肌の新陳代謝を促進させる」「髪のツヤやコシを保つ」といった効果があるので積極的に摂取しましょう。

注意点は、「日本人の50%はエクオールを作れない体質」であること。大豆製品だけでは不十分な可能性があるので、サプリメントで補うのがおすすめです。

また、頭皮の環境や髪の成長に欠かせないのが、サーモンに含まれる「アスタキサンチン」とガゴメ昆布に含まれる「フコイダン」という2つの栄養素です。

「アスタキサンチン」は、毛母細胞に働きかけて髪の成長をサポートしてくれるほか、シミやシワを防ぐ高い抗酸化作用を持っています。そして、「フコイダン」には髪の成長因子に働きかけて育毛を促進する効果があり、美髪づくりをサポートする食材です。髪のダメージや髪質の変化を感じている方は、積極的にサーモンとガゴメ昆布を摂取しましょう。

このほか、肌と髪の成長に欠かせない以下のような栄養素が不足しないよう、日々の献立を工夫してみてください。

【肌と髪の成長に欠かせない栄養素】
・食物繊維
食物繊維は腸内環境を整えるために必要な栄養素です。野菜や海藻などで積極的に摂取しましょう。また、白米を玄米などに置き換えることで食物繊維が摂りやすくなります。

・ビタミン類
健康な肌や髪をキープするのに欠かせない栄養素です。果物などを積極的に取り入れ、ビタミンの摂取を忘れないようにしましょう。不足しがちな栄養素なので、サプリメントで補うのもおすすめです。

・カルシウム
女性ホルモンの減少によって骨が萎縮し、シワやたるみの原因になることがあります。小魚や乳製品などを摂取して、カルシウムが不足しないようにしましょう。

DEMI LABO編集部 女性ホルモンを補える栄養素があるのは驚きました!紫外線や睡眠といった基本のケアを怠らないようにすることと、食事に注意することが大切だということですね。

日比野佐和子医師

日比野先生 そうですね。肌や髪は食べた物の影響を強く受けるので、「何を食べるのか」に意識を向けるのは特に大切です。食事だけですべてを摂取するのは大変なので、不足しがちな栄養素は積極的にサプリメントを活用してみてください。

DEMI LABO編集部 ありがとうございます!このほか意識すべきことはありますか?

日比野佐和子医師

日比野先生 スキンケアの方法を見直すのも大切だと思います。
肌や髪の老化を感じたら、それに合った方法にアップデートしてみてください。
「弱酸性の洗顔料を使い、乾燥でアルカリ性に傾いた肌を整える」「3週間に1回のピーリングで肌代謝を底上げする」「髪に栄養が行き届くように、血行改善効果が期待できる頭皮マッサージを習慣にする」など、肌や髪の状態に合ったケアを取り入れてみてください。

(※髪と女性ホルモンの関係について詳しく知りたい方は以下をご確認ください)

まとめ

女性ホルモンは、美肌・美髪を維持するのに欠かせない役割を担っています。ただ、30代前半をピークに分泌量が減少するほか、若年層でも、生活習慣や食習慣の乱れによって分泌量が減少することがあります。
ホルモンの分泌量が減少すると心身にさまざまな悪影響を及ぼすので、原因がわからない健康・美容トラブルにお悩みの方は、ぜひ今回ご紹介したケアを取り組んでみてください。

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