ニーズの変化とともに、時代を創ったデミのヘアカラーの歴史を紐解く

ニーズの変化とともに、時代を創ったデミのヘアカラーの歴史を紐解くの写真

ヘアカラーの歴史は古く、古代エジプト時代から存在していたといわれており、かつては動植物・鉱物から作られたものを使用し、現在のような白髪を隠す美容目的のほか、宗教や魔よけのための目的もあったようです。
日本では、最初の酸化染料による染毛剤が発売されたのは、明治時代。ただしこの頃は、すべて髪を黒く染めるもので、今のヘアカラーの自由な色幅とは程遠いものでした。

話を聞いたのは

坪川 恒一郎

坪川 恒一郎

執行役員
化粧品部門 デミ コスメティクスカンパニー
バイスプレジデント 兼 化粧品製造部長

日本人女性の2人に1人は美容室でヘアカラーをしている(※)

20世紀に入り、ヘアカラーは急速に一般市民の間でも広がり、髪を染めることが個人のファッションの一部や、自己表現として一般化しました。
現在では、髪のトーンもかなり高いものから、暗いものまで、また、ヘアカラー技術に関しても全頭に施すものから、部分的に施すグラデーション・メッシュ・バレイヤージュなどまで。髪色のバリエーションやデザインが多様化し、日々進化を続けています。すっかりカラーリング習慣は定着したといえるでしょう。

※NBBA2024 秋サロンユーザー女性調査において「最近美容室で利用したメニューは何か」の質問で「ヘアカラー」と答えた人の割合は49.3%

坪川氏インタビュー画像

前回に引き続き、デミ コスメティクスカンパニー バイスプレジデント兼化粧品製造部長の坪川 恒一郎に話を聞いていきます。今回は、デミのヘアカラーについて詳しく話を聞きました。 

時代のニーズに沿って、逆転の発想で開発した酸性カラー

――デミがヘアケアの開発に乗り出した、その後はどのような展開をしたのですか。

坪川:デミの母体である日華化学が得意とする繊維加工のなかで、「染め」の工程があります。これをヘアカラーに応用しました。

髪をブリーチすると傷むでしょう。これはみなさんよくご存じのことだと思います。我々は、繊維加工の経験から「漂白(繊維の色ムラをなくして均一に白くする)」のノウハウがありますから、ブリーチをしても髪を傷ませない、ダメージを最小限に抑えることができるんです。

そして、色を染めた後に「色が落ちにくい・長持ちする」という技術を使う。これがヘアカラー開発に生きています。デミの初めてのヘアカラー剤は1986年にデビューしました。

――どんな製品だったのですか?

坪川:みなさんが一般的にイメージする”ブリーチすると髪が傷む”って、あれはアルカリでブリーチするからなんですね。では、ブリーチせず髪を傷めずに、しっかりと白髪を染めるカラー剤があれば良いんじゃないかと。

「デミカラー」という弱酸性で染める製品でした。

ブリーチしないので、髪色は明るくはならないんです。でも、しっかり白髪は染まる。

デミカラー商品画像
デミカラー

――白髪染めだったんですね。

坪川:はい、この時代はまだ現代のようなファッションカラーというものは文化として根づいていなかったのです。

――当時は、どんな時代性だったのですか?

坪川:1980年代後半は、日本はバブルの時代ですね。ワンレン、ボディコンに象徴されるようなファッションが非常に流行ったんですね。ストレートのロングヘア、さらさらの黒髪でワンレングスのスタイルが美しいとされていました。

――どんな製品が求められたのですか?

坪川:艶をより強調させるために、黒髪の表面にほのかにレッド、イエロー、オレンジの鮮やかな色を入れました。すると、光の反射で常に艶が見えるようになります。これが「ポリサージュ」といってフランス語で「艶」を意味する製品です。

これが日本中で大ブレイクして、デミといえばポリサージュというカラーメニューが広がっていきました。

――まさに繊維加工の技術があったからこそのヘアカラーですね。

坪川:きれいに染めてもすぐに落ちちゃったら残念ですよね。質感が持続できるってところがメリットです。 髪も傷みにくく、繰り返し施術できるところも喜んでいただけているのかなと思います。もう発売から40年近く経ちますが、現在も白髪染めとして永く使われ続けているんですよ。

ミレニアムの時代、ファッションカラーの先駆けとして文化の創造へ

――ヘアカラーといえば白髪染め、という時代からファッションのように楽しめる時代がやってきましたよね。

坪川:ミレニアム、つまり2000年代に入ってから、世の中が大変明るい方向へと動いたんですね。テレビには歌姫と呼ばれるような女性シンガーが多数出てきて、髪色もミルクティーカラーなどハイトーンのものが多くなってきました。このような時代の追い風も受けて当社の「ミレアム」というカラー剤が大ヒットしました。

当時、ラインナップの色数でいえば、日本トップクラスだったのではないでしょうか。髪をいろいろな色で楽しむファッションカラーの先駆けだったんですよ。

ハイトーンヘアカラーの女性の画像

――今でこそ、髪色でファッションを楽しむって当たり前になった感覚ですよね。

坪川:研究開発においても、髪のダメージを最小限に抑えるということへの当社のこだわりというのは非常に強いです。

そのためにひとつひとつの素材を非常に吟味して、研究し、評価していく地道な取り組みを行っています。これからも皆さんにはどんどん髪色を自由に楽しんでいただけると良いなと思っています。

まとめ

デミ コスメティクスの歴史、繊維加工技術の応用、毛髪科学研究所の取り組み、そして自社での研究開発のメリットについて坪川に詳しく聞きました。
愛され、信頼いただける商品開発の裏側には、裏付けされた科学と向き合う姿勢がありました。

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