デミ毛髪科学研究所 研究レポート Vol.2_髪のキューティクル機能を再生する「超撥水(ちょうはっすい)」技術研究
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この記事では、デミ毛髪科学研究所研究レポート第二弾として、世界的科学賞を受賞した化学品の「撥水」技術から着想を得た「キューティクルラップ」技術についてレポートいたします。
目次
開発背景
髪には撥水が必要!?
本来、健康な毛髪の表面にはキューティクルの脂肪層が存在するため撥水性が高く、物理的・化学的なダメージから保護したり、毛髪内部成分の流出を防いだりするとても重要な役割を持っています。しかし、毛髪がダメージを受けるとキューティクルの損傷に伴い、撥水機能は低下し、“毛髪の親水化“が生じます。
そうなると日々のシャンプーで髪が濡れるだけで、毛髪内部の成分が流出しやすくなり、乾燥や湿気によるうねり、ヘアカラーの褪色など様々な問題が発生してしまいます。
つまり、サロン帰りの美しい仕上がりを長く保つために、髪の撥水性はとても重要な役割を果たしているのです。
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技術の発想
ハスの葉の撥水技術に着目してつくられた日華化学独自の繊維撥水加工
デミ毛髪科学研究所は、日華化学の他部門の研究所と事業領域を超えた研究の交流を活発に行い、オープンイノベーションを日々追求しています。髪の撥水機能の再現をテーマにしたとき着目したのが、「日華化学独自の繊維撥水加工技術」でした。
ハスの葉のすごい撥水効果
ハスの葉に水がかかると、水は葉の上で丸い水 滴になりコロコロと転がり、葉を濡らすことがありません。この秘密は、葉の表面にある微細な凸凹の構造。水と接触する面を減らし、クッションのような働きをして水をはじきます。
ハスの葉のような撥水効果は「超撥水」と呼ばれ、様々な技術に転用されています。

日華化学の繊維化学部門では 、このハスの葉の「超撥水」に着目し、ハスの葉の構を再現する繊維撥水加工剤として「ネオシード」の開発に成功しました 。この独自技術は 、2017年の近畿地方発明賞において最高賞である文部科学大臣賞を受賞しています。
繊維撥水加工剤ネオシードは、「高い撥水性」だけでなく「柔軟な風合い」の両立を実現するネオシードNR-8800にさらに進化をとげています。この日華化学独自の撥水技術は、アメリカにおいて革新的な技術を表彰する「2020 R&D 100Award」も受賞しています。
デミ毛髪科学研究所では、この繊維撥水加工技術を化粧品に応用できないかの検討を進めました。
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
独自技術の開発 世界的技術賞をとった繊維撥水加工技術を化粧品へ
独自技術の開発 撥水技術のクロスオーバーを実現
親水化したダメージ毛に、毛髪本来の撥水性を再現するために、デミ毛髪科学研究所ではネオシードの撥水技術のひとつである、物体表面に均一に剤を付着させる乳化破壊の技術に着目。撥水成分を含んだクリーム状の1剤を塗布した上から、乳化破壊をおこすジェル状の2剤を塗布することで、毛髪表面に均一に剤を付着する技術開発に成功しました。
2剤式にすることで、1剤のクリームに内包された補修成分が均一に付着し、キューティクルがはがれてしまったダメージ毛にも高い撥水性を再現できることが確認されました。
デミ毛髪科学研究所では、この技術を「キューティクルラップ」と名付け、ヘアマスクやトリートメントに活用していきます。
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実証データ① 毛髪の撥水効果検証
キューティクルラップの処理なしだと、水は生地(毛髪)にすぐに吸収されていきますが、処理することで水は吸収されず、水滴状態を維持できていることが確認できました。
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また、キューティクルラップ処理により、毛髪への過剰な水分の浸透や内部からの成分流出が抑制されるため、湿度が高い環境でも髪がまとまり、シャンプーによるヘアカラーの褪色も抑制できることが確認されました。
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実証データ② 美しいストレートスタイルを長持ちさせる効果検証
デミ毛髪科学研究所では、本技術を健康な髪が本来持つ撥水性を自宅で簡単に再現できるホームケア製品に活用していきます。
さらに、ストレート処理をした毛髪にキューティクルラップを処理することにより、サロンで仕上げた美しいストレートスタイルが維持されることも確認できました。デミ毛髪科学研究所では、本技術を健康な髪が本来持つ撥水性を自宅で簡単に再現できるホームケア製品に活用していきます。
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デミ毛髪科学研究所
デミ毛髪科学研究所は、1984年に設立されてから約40年にわたり、頭皮と毛髪の研究に取り組んでいます。研究所内だけにとどまることなく、専門機関や大学との共同研究や、髪のスペシャリストでもある美容師様と連携し、日本人の髪を誰よりも理解し、美しくする研究所を目指して、独自性のある開発を続けています。
基礎研究 2035年ビジョン「すべての人に10代のころのような美しい髪を」
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デミ毛髪科学研究所では、新たに美髪再生プロジェクトをスタートさせました。「すべての人に10代のころのような美しい髪を」を基礎研究のビジョンに掲げ、研究活動に取り組んでいます。
専門機関や大学と連携し、最も美しいとされる10 代のころのような美髪へ導き、維持させるための研究に集中特化していきます。
※写真・イラストはすべてイメージです