よくあるご質問ヘアケア剤の本的な特徴を教えてください

プロ用ヘアケア剤は、美容技術との関連性や髪質など、髪の状態や悩みをしっかり判断できる美容師さんのモニター評価の上で開発されています。そのためサロンに来店されるお客様一人一人に対して的確な毛髪診断を行い、お客様の髪質にあったヘアケア剤を提供できます。このヘアケア剤は、髪にやさしく、しっかり洗い上げることができるシャンプーと、ダメージヘアを髪の内外部からケアし、健やかに保つことのできるヘアトリートメントで構成されています。ヘアカラーやパーマをきれいに保つための機能や、また美容師さんの手肌に負担をかけないなどサロンワークをサポートする機能も持っています。

シャンプーに配合されている活性剤の分類

シャンプーは界面活性剤(アニオン界面活性剤、両性界面活性剤)の働きで毛髪や頭髪の汚れを洗い落とします。その界面活性剤には、たくさんの種類があり、それぞれ特徴があります。プロ用シャンプーは、タウリン系・アミノ酸系・タンパク質由来系アニオン活性剤やベタイン系両性界面活性剤といった低刺激の洗浄成分と、植物由来の高級アルコール系アニオン界面活性剤がパランスよく配合されています。

アニオン界面活性剤

活性剤の分類1活性剤の分類2特徵
高級アルコール系 ラウリル硫酸Na 洗浄力が高く、泡立ちも良好な活性剤です。
ラウレス硫酸Na 洗浄力が高く、泡立ちも良好な活性剤です。ラウリル硫酸塩よりも低刺激です。
α-オレフィン系 オレフィン(C14-16) スルホン酸Na 洗浄力が高く、泡立ちも良好な活性剤です。高級アルコール系よりも皮膚への刺激性がやや弱くなっています。
アミノ酸系 グルタミン酸系 ココイルグルタミン酸Na
ラウロイルグルタミン酸Na
アミノ酸 (グルタミン酸) 由来の活性剤です。皮膚、毛髪に対して、とてもやさしい低刺激性の活性剤です。洗浄力は強くなく、泡立ちもあまりよくありません。 コンディショニング性が高く、高価な活性剤です。
アラニン系 ココイルメチルアラニンNa
ラウロイルメチルアラニンNa
アミノ酸 (β-アラニン) 由来の活性剤です。適度な洗浄力と脱脂力を有しており、しっとりとした感触に洗い上がります。
グリシン系 ココイルサルコシンNa
ラウロイルサルコシンNa
アミノ酸 (グリシン) 由来の活性剤です。温和な洗浄作用と静菌力を有しており、ハミガキ粉からボディーソープまで幅広く使用されます。
タウリン系 ココイルメチルタウリンNa
ラウロイルメチルタウリンNa
含硫アミノ酸といわれるタウリンからつくられる活性剤です。 皮膚、毛髪にやさしい低刺激性の活性剤です。
タンパク質由来系 ココイル加水分解コラーゲンNa コラーゲン等のタンパク質を加水分解して得られるポリペプチドを元につくられています。皮膚、毛髪に対してとてもやさしい低刺激性の活性剤です。皮膚、毛髪のタンパク質と類似しており、親和性があるので、コンディショニング性が高く、高価な活性剤です。
スルホコハク酸系 スルホコハク酸ラウレス2Na 泡の持続力に優れています。他の活性剤と組み合わせると起泡力が増します。高級アルコールを原料としていますが、高級アルコール系よりも皮膚刺激がやや弱くなっています。
石けん系 アルカリ石けん系 オレイン酸Na いわゆる石けんです。生分解性が高く、洗浄力がありますが、pHが高いため、皮膚への刺激性があります。また、水の中のカルシウムイオンなどと結合して、スカム(石のようなもの)をつくり、髪に吸着し、毛髪が硬くなってしまいます。
酸性石けん系 ラウレス-3酢酸Na アルカリ石けんを改良したものです。生分解性がよく、適度な洗浄力があります。弱酸性なので、刺激が緩和されています。合成の油を原料としており、高級アルコール系に類似しています。

両性界面活性剤

活性剤の分類1 活性剤の分類2 特徵
ベタイン系 アミド型 ラウラミドプロピルベタイン 高発泡性、低刺激性を有する活性剤です。アニオン活性剤との組み合わせにより、優れた増粘・増泡性を示します。
イミダゾリニウム型 ココアンホ酢酸Na 特に眼に対する刺激が低い活性剤で、ベビーシャンプーなど、低刺激性洗浄剤の基剤として使用されます。
アミノ酸系 ラウリミノジプロピオン酸Na 両性とアミノ酸の両方の良い点をもち、眼、皮膚への刺激性が最も少ない、低刺激性の活性剤です。

ヘアトリートメントに配合されている活性剤の分類

ヘアトリートメントに配合されている主なケア成分としては、カチオン界面活性剤とコンディショニング剤、毛髪保護成分があります。それぞれの成分の配合により、髪質の改善、髪内外部の修復、手触り感アップなどいろいろな目的に応じてつくられます。パーマやヘアカラーによりダメージした髪を修復するだけでなく、髪のダメージや髪質にあったヘアトリートメントをお客様一人ひとりに提供できます。

成分 全成分表示の表示名称(代表例) 働き
カチオン界面活性剤 ステアリルトリモニウムブロミド
セトリモニウムブロミド
ステアルトリモニウムクロリド
セトリモニウムクロリド
静電気防止作用、毛髪をやわらかく、しっとりさせる作用があります。
クリーム基剤 セテアリルアルコール
セタノール
クリーム状トリートメントのベース剤です。
乳化剤(ノニオン界面活性剤) セテス-2、6、10、15、20
オレス2、10、15、20
油性成分を乳化する作用があります。
コンディショニング剤
油性、脂質成分
オリーブ油、ホホバ油、アボカド油
スクワラン
ミリスチン酸イソプロピル
イソステアリルアルコール、オレイルアルコール
油性成分を補い、しっとり、なめらかにする作用、ツヤを出す効果があります。
卵黄脂肪油、吸着精製ラノリン
ダイズステロール、コレステロール
セラミド3
脂質成分(CMC成分)を補い、保湿性を高める作用毛髪細胞を接着させる作用があります。
コンディショニング剤
シリコン、高分子ポリマー
ジメチコン、アモジメチコン
ポリクオタニウム-10(カチオン化セルロース)
キトサン
すべり感を高める作用、毛髪保護効果があります。
毛髪保護タンパク、アミノ酸成分 加水分解卵殻膜
加水分解ケラチン
加水分解コラーゲン
加水分解シルク
加水分解コムギ、加水分解コムギタンパク
加水分解ダイズタンパク
グルタミン酸、アルギニン、ピロリドンカルボン酸
間充物質の補給、キューティクルの保護・保湿の効果があります
pH調整剤(酸) リンゴ酸、クエン酸、乳酸、コハク酸 pHコントロール効果、アルカリ中和作用があります。

ヘアリンス・ヘアコンディショナー・ヘアトリートメントの区別

プロ用ヘアケア剤は「シャンプーとヘアトリートメントの組み合わせ」が殆どですが、一般に販売されているヘアケア剤では「ヘアトリートメント」の代わりに「ヘアリンス」や「ヘアコンディショナー」と呼ばれるアイテムが存在します。お客様の中には、これらの区別が分からない場合もありますので、以下にまとめました。

トリートメント
  • ヘアリンスは毛髪表面に作用し、ヘアトリートメントは表面~内部に作用します。
  • ヘアコンディショナーは、ヘアリンスにヘアトリートメントの効果を少し持たせたようなイメージで毛髪の表面~内部に作用します。
  • ヘアトリートメントは、毛髪内部に油分(脂質)やアミノ酸、毛髪保護タンパクを浸透させ、毛髪を健やかな状態にします。もちろん、コンディショナーやリンスが持っている機能性も持っています。

上記のヘアトリートメントは日々のヘアケア(洗髪)でシャンプーと一緒に使用されることが多く、別名「洗い流すヘアトリートメント(インバス・ヘアトリートメント)」と呼ばれます。一方「流さないヘアトリートメント(アウトバス・ヘアトリートメント)」と呼ばれるアイテムも有り、こちらは単独で使用されることが多く、日々のヘアケア後やお休み前、お出かけ前などに髪に塗布し、髪の質感・風合いをアップさせたり、髪表面を整えることで、ドライヤーやコテアイロンの熱、ブラッシングの摩擦や乾燥などのダメージ要因から髪を守る機能があります。

ちなみに、通常「ヘアトリートメント」とだけ記載・表示された場合は「インバス」を指しますし、もう一方は明確に区別するため「流さないヘアトリートメント」や「アウトバス・ヘアトリートメント」と記載されます。