髪と頭皮の基礎理論ケミカル講座 vol.2 パーマのしくみ・基礎知識(2)

パーマのしくみ・基礎知識(1)では、パーマ剤が髪に作用するしくみと、おおまかなパーマ剤の分類についてご紹介しました。今回は、パーマ剤の1剤・2剤のもう少し細かい種類と特徴をみていきましょう。

パーマ1剤の成分

還元剤は、シスチン(S-S)結合を切断する働きがあり、いくつか種類があります。パーマ剤では、「チオグリコール酸塩類」「システイン又はその塩類」が使用されており、カーリング料では、「亜硫酸ナトリウム」「システアミン」などが使用されています。

パーマ1剤の成分

還元剤の種類と構造

還元剤の種類と構造

質感の違いとは…

還元剤の違いにあり、システイン系のパーマ剤は、反応後のシステインが2剤により酸化されるとシステインが2分子結合した水に不溶性のシスチンを生成し、毛髪内部に定着して、ハリ・コシをだします。亜硫酸ナトリウムは、水に溶けやすく、毛髪中に残りにくいためやわらかいカールをつくることができます。

還元剤の種類と構造

アルカリ剤の種類と特徴

アルカリ剤の働きは、pHを高め、毛髪を軟化、膨潤させて、パーマ剤の浸透をよくして還元反応を促進します。アルカリ剤としては、「アンモニア」「モノエタノールアミン」「炭酸水素アンモニウム」などが配合されます。それぞれのアルカリ剤には特性があり、配合するアルカリ剤で、パーマ剤の作用が変化します。

アンモニア
揮発性のため刺激臭はあるが毛髪へ残留が少ない。反応は早いが、オーバータイムしにくい。手に対する刺激がある。
モノエタノールアミン
不揮発性のためニオイは少ないが、毛髪への残留が多い。反応は遅いが、オーバータイムしやすい。手に対する刺激がある。
炭酸水素アンモニウム
弱アルカリ性のアルカリ剤。施術時間の経過とともに、炭酸とアンモニアに分解され、アルカリ性になるため反応が強くなる。
アルギニン
塩基性アミノ酸のひとつで、毛髪との親和性が高い。アルカリ剤の作用としては弱く、反応は穏やかである。

パーマ剤2剤の成分

酸化剤は、1剤で切断したシスチン(S-S)結合を再結合させる働きがあります。パーマ2剤の主成分は、「臭素酸ナトリウム(ブロム酸ナトリウム)」「過酸化水素水」です。目的に合わせて2剤の種類を選定することをおすすめします。

パーマ剤2剤の成分
成分例 過酸化水素 H2O2 臭素酸ナトリウム NaBrO3
酸化作用 酸化作用が強く、2剤処理の時間短縮が可能。 穏やかなため、放置時間をしっかりおく必要がある。
配合量 2.5%以下 3.5%以上
pH pH3程度 pH6程度
特徴と質感 酸化染料を酸化重合させることができ、ヘアカラーの褪色が少ない。また反応後に水しか残らないため、しなやかでやわらかいカールが得られる。 塩析効果のため、リッジの効いたハリのあるカール感が得られる。

2剤を加温すると、急激な酸化反応によりダメージの原因となります。