なぜ、思い通りのウェーブが表現できないのか?
ヘアカラーなどを繰り返してダメージを受けた髪は、根元、中間、毛先で、髪の状態やダメージ度が異なります。
- 根元
キューティクルが健康な状態で親油性(油になじみやすい性質)であるため水になじみにくい。 - 中間部分~毛先
毛先に近づくほどキューティクルが剥がれて、親水性(水になじみやすい性質)に変化している。 - 毛先
キューティクルがほとんどなくなりコルテックスがむき出しになり、間充物質が流れ出やすい。特に毛先は枝毛・切れ毛になりやすい状態。
前回まではパーマのしくみについてご紹介しました。では、そのパーマとダメージの関係についてみていきましょう。
ヘアカラーなどを繰り返してダメージを受けた髪は、根元、中間、毛先で、髪の状態やダメージ度が異なります。
パーマによるダメージにはいくつか要因がありますが、その中で2剤処理と後処理の対策について詳しくみてみましょう。
2剤の塗布ムラがあると、シスチン(S-S)結合がしっかり戻らない部分ができてしまい、ダメージにつながります。塗布ムラをなくすために下記のことに注意しましょう。
2剤処理によってシスチン(S-S)結合はほぼ戻り、多少pHも下がりますが、それでもpH8以上のアルカリ性のままです。その状態のままだと、どのようなダメージにつながるのでしょうか?
アイロンストレートによる毛髪ダメージの影響は非常に大きいものです。過度のアイロン施術により、パーマをかけるために必要なケラチンタンパクが変性してしまいます。
ゆでたまごが生卵に戻らないように、一度変性したタンパク質は決して元には戻りません。タンパク質が変性すると、パーマであれば、パーマがかからないという問題が起きたり、ヘアカラーでいえば染料が毛髪内部に浸透しにくくなり、ムラになりやすくなります。
ウェーブをコントロールする薬剤的要因は6つの要因があります。
チオグリコール酸とシステインでは、還元力の数値が同じでも、パワーは同じではありません。還元剤の種類が違うと同じ還元剤でも、ウェーブの強弱は異なります。アルカリ度(アルカリ剤の量)も同様です。
6つの要因のうち、ひとつでも変化させることで、ウェーブをコントロールすることが可能ですので、ひとつの要因だけで判断できません。
システインは、チオグリコール酸と比較して還元する力が弱いので、パワー不足をカバーするために、pHが高くなります。
pHをあげればパワーはアップしますが、ダメージの原因にもなりますので、かかりを強めながらも、ダメージをさせないためのバランスが重要です。