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ダメージを受けている毛髪の中間~毛先では、間充物質(分子量約10,000)のケラチンタンパクが失われておりさらにマクロフィブリル(分子量約80,000~100,000)のケラチンタンパクが損傷しています。このようなダメージ毛に対してきれいなウェーブを表現するためには、適切な処理剤が必要となります。
前処理、中間処理、後処理それぞれの有効性を見ていきましょう。
健康毛とダメージ毛の髪の内部には大きな違いがあります。
ダメージを受けている毛髪の中間~毛先では、間充物質(分子量約10,000)のケラチンタンパクが失われておりさらにマクロフィブリル(分子量約80,000~100,000)のケラチンタンパクが損傷しています。このようなダメージ毛に対してきれいなウェーブを表現するためには、適切な処理剤が必要となります。
前処理、中間処理、後処理それぞれの有効性を見ていきましょう。
健康毛は、キューティクルがあることによって疎水性の性質を持っています。ダメージ毛になると、キューティクルがはがれ水になじみやすい親水性の性質に変化します。ヘアカラーなどを繰り返してダメージを受けた髪は根元~中間~毛先で髪のダメージに差があるため、性質の異なる部分が混在することになります。
髪の状態とダメージ度に合わせて前処理の方法を変え、出来る限り髪を本来の性質に戻すことが前処理の行程において重要になります。
毛髪 | 卵殻膜 | 加水分解ケラチン 中シスチンタイプ | |
---|---|---|---|
グリシン | 7.3 | 6.0 | 8.4 |
アラニン | 4.0 | 4.1 | 6.0 |
バリン | 4.7 | 4.7 | 6.2 |
ロイシン | 8.4 | 5.8 | 7.2 |
イソロイシン | 2.2 | 3.8 | 3.0 |
フェニルアラニン | 2.7 | 2.3 | 1.6 |
プロリン | 3.7 | 7.0 | 7.4 |
ヒドロキシプロリン | - | 0.9 | - |
スレオニン | 7.2 | 5.8 | 7.6 |
セリン | 7.6 | 3.2 | 11.6 |
チロシン | 3.1 | 2.2 | 2.2 |
メチオニン | 1.0 | 4.4 | 0.7 |
トリプトファン | 0.7 | 1.6 | - |
シスチン | 16.0 | 15.8 | 8.7 |
システイン酸 | - | - | 0.9 |
アルギニン | 9.6 | 3.7 | 6.3 |
ヒスチジン | 0.9 | 2.3 | 1.1 |
リジン | 2.6 | 5.1 | 3.0 |
ヒドロキシリジン | - | 0.1 | - |
アスパラギン酸 | 6.0 | 8.1 | 6.1 |
グルタミン酸 | 12.3 | 13.3 | 12.0 |
中間処理で使用する酸リンス剤は、1剤のアルカリを中和、除去するためにリンゴ酸・クエン酸・コハク酸などの有機酸が配合されています。残留アルカリの影響をなくし、2剤の働きを効果的にします。
1剤処理後は、髪がもっとも膨潤した状態で、ウェーブ形成に必要な間充物質の代わりとなる分子量の大きいタンパク(ケラチン・コラーゲンなど)が毛髪内部に浸透しやすい状態です。これを利用して、タンパク(ケラチン・コラーゲンなど)を補給することも中間処理の重要なポイントです。
パーマ処理後の髪のpHは、中間処理や2剤処理をしても、弱アルカリ性~中性でイオン結合が切れている状態です。pHを等帯電(pH4.5~5.5)にして、イオン結合を元に戻す必要があります。
また、前処理で間充物質を補給しても、パーマ施術中にそのケラチンタンパクがある程度流出してしまいます。ウェーブを保持するために後処理でもしっかりと間充物質を補給することが重要になります。
今後、美容技術における様々な場面、様々な髪の状態により、前処理剤の重要性はますます高くなると 考えられます。