髪に塗布したカラー剤から泡が立って、思いのほか染まらない原因は?
普段使用している水や生活環境の影響で、髪に金属成分が多く残留していたり、金属成分を含んだ不純物が付着している場合、まれに髪に塗布したカラー剤から泡が発生することがあります。これは、金属成分と過酸化水素が反応したことによるもので、その結果、発色が弱くなったり、ブリーチ力が低下したりしてしまいます。泡が立ったカラー剤は、一度かき取るか洗い流してください。これにより、髪に残留した金属成分は除去されるため、再度、カラー剤を塗布すれば設定どおりに染まります。
髪に塗布したカラー剤から泡が立って、思いのほか染まらない原因は?
パーマとカラーを繰り返している14レベルのハイダメージ毛のお客様。鮮やかなイエローグリーン色に仕上げてほしいとご希望されたので、8レベルのイエローグリーン系(OX-3.0AC)をオンカラーし、15分自然放置しました。しかし、カラーチェックしたところ、イエローグリーン色ではなく、ブルーグリーン色になっており、思いのほか、沈んだ色に仕上がってしまいました。なぜ、ブルーグリーン色に仕上がってしまったのでしょうか。また、イエローグリーン色に修正する方法も教えてください。
ハイダメージ・ハイレベル毛は、青の色素が濃く入り、対して黄色の色素は入りにくい傾向にあります。そのため、BGやYGといったグリーン系アイテムで染めると、ダメージ度合いによっては青味の強い色に仕上がります。さらにパーマ履歴もあったため、色がより深く染着し沈んだと推測されます。
今回のケースでは、C-8/YG単品の使用は避け、予め、C-8/GDや8/Yellow等のイエロー系アイテムをC-8/YGにミックスし、黄味を強めた薬剤を使用してください。黄味を強くすることで、ハイダメージ毛に染めてもイエローグリーン系の色に仕上がります。
なお、ブルーグリーン色に染まっている髪をイエローグリーン色に修正するには、黄味を加える必要があります。修正する際のプロセスは以下のとおりとなります。
- 修正プロセス
- 現在の既染部と同程度レベルのアソート アリア C ビビッドカラー8/Yellow・10/Yellow、またはC-/8GD・C-10/GDを選択します。
- 選択した1剤に対して2剤OX-2.4を同量で調合します。(1剤:2剤=1:1)
- 襟足等の目立たない部分で予備染毛します。 ネープ等の比較的目立たない部分の毛束(1スライス)を取り、アルミホイルで包み15分放置します。
- 放置後、カラーチェックし、希望の色にシフトしていることを確認します。
- 確認できたら残りの薬剤を全体にオンカラーし、再度15分放置します。
- 放置後、カラーチェックし、希望の色にシフトしていることを確認します。カラーチェックし、全体が希望色にシフトしていたらシャンプーして仕上げます。
その他成分にアレルギーをお持ちのお客様への対応は?
お客様のかぶれの原因(アレルギー源)がはっきりしないと、ヘアマニキュアやアルカリカラーも使用できません。以前、病院でパッチテストを行っているとのことですので、お客様から具体的な「アレルギー成分」を確認していただく必要があります。
これまでヘアカラーによって地肌にかゆみすら出なかった人が、体質の変化やその時の体調などによって、ある日突然かぶれてしまうことがあります。一度かぶれてしまうと体内に抗体ができ、次にヘアカラー(酸化染毛剤)を使った時に抗体がヘアカラーの成分を抗原(異物)ととらえ、かぶれを起こします。しかも、この体質は一生続くとも言われています。
たとえ、かぶれが起きたことがなくても、酸化染毛剤、非酸化染毛剤を使用する際は、毎回必ずパッチテストをしてください。
ヘアカラーでかぶれた経験のあるお客様への対応は?
15年前にヘアカラーで「かぶれたことがある」というお客様が白髪染めで来店されました。問診では「それ以来、ずっとホームカラーで染めていたが、まったく症状は出なくなっている」と言われたため、パッチテストをせずに染めたところ、翌日「かぶれた」との報告がありました
今回のお客様の症状は、ヘアカラー施術中には発生せず、ご帰宅後に発赤や顔の腫れが出たとのこと。これは、頭皮への刺激などではなく、酸化染料によるアレルギー反応と推測されます。このようなお客様には、低刺激性であっても酸化染料を含むヘアカラーを使用した場合、かぶれ(アレルギー反応)が発生します。
お客様がホームカラーで使っていた薬剤の種類が確認できませんでしたが、もし酸化染料が配合されていないヘアマニキュア、カラーリンス、金属染毛剤を使用されていたのであれば、かぶれ(酸化染料によるアレルギー反応)は発生しません。
ヘアカラー(酸化染毛剤)でかぶれた経験のある方は、たとえ15年前であっても、酸化染毛剤を使うことはできません。このようなお客様にはパッチテストもできないので十分にご注意ください。
グレイヘアのお客様のヘアカラーの色流れ・色移りのトラブルへの対応は?
どのようなお客様でも白髪染めをされた後の約1週間は、髪が濡れていると枕やタオルに色が移りますので、自宅でのシャンプー後は必ずドライングするようお伝えしてください。通常は、1週間程度で枕汚れや色移りはほとんど目立たなくなりますが、次のようなカウンセリングとアドバイスをしてみてください。
- お客様へのアドバイス
- 洗髪後はしっかりと乾かし、ウェット状態でご就寝しないで下さい。
- シャンプー後は、汚れが目立たないような専用のタオルで髪を拭いてください。
- スタイリング剤も、種類によっては色流れの原因になります。
- サロン様の心得
- キャップまたはラップを使って薬剤の乾燥を防ぎ、頭皮への汚染を防ぎます。
- 乳化およびシャンプーで、頭皮・毛穴・髪に付いた薬剤をしっかり洗います。
- 地肌に付きやすいお客様には、特にていねいに乳化・シャンプーを行います。
- お客様に、ヘアカラー後のお手入れと上記のようなアドバイスをお伝えしましょう。
パーマやへアカラーを繰り返すと髪が硬くなるような・・・。施術後に行える、簡単な処理剤はありますか?
パーマやヘアカラーをした後には、酸化剤(過酸化水素やブロム酸ナトリウム)が髪に一部残っています。その酸化剤が活性酸素を発生させて、酸化ダメージを引き起こすため、髪が硬くなります。「コンポジオ スカベンジャー」をパーマやヘアカラーの後処理として使用することで、残留酸化剤を分解・除去し、髪のコンディションを整えます。
コンポジオ スカベンジャーとは?
残留酸化剤を分解・除去し、パーマやヘアーカラー後の髪のコンディションを整えます。
内容成分:
ラッカセイ種皮エキス※、天然物由来の酸化抑制成分
使用方法:
【パーマの後処理】2剤を流した後に髪全体にムラなく塗布し、もみ込んで洗い流してください。
【ヘアカラーの後処理】乳化し、シャンプーした後に髪全体に塗布し、もみ込んで洗い流してください。
※ラッカセイ種皮エキスは、酸化抑制効果のあるポリフェノールの一種です。カテキンの約2倍の酸化抑制効果があります。
機能:酸化ダメージを抑えるスカベンジャーの働き
サロンカラーのメリットをお客様にお伝えしたい
美容室で使用されているヘアカラー剤は、染料が入った1剤のカラーバリエーションはもちろんですが、お客様の髪質に応じて、2剤が数種類準備されています。美容室で染めることのメリットは、2剤の使い分けができるというのが最大のポイントです。
カラーをしている人の多くは、1~2ヶ月の間に常にヘアカラーを継続している人。つまり、髪全体の約90%は既染部の状態です。その上から繰り返し、カラーリングすると、残った色素やダメージによって色ムラや傷みができてしまいます。
ヘアカラー2剤に使用されている過酸化水素はブリーチに深く関係するので、必要以上のダメージに直結します。そこで美容室では、髪の状態によって2剤の過酸化水素濃度1~6%の薬液を準備して、使い分けいます。
さらに、必要に応じてカラーの前後にタンパク質や脂質を補なったり、サロントリートメントをして、本来の好ましい状態に戻してあげることで質の高いヘアカラーを実現しています。綺麗の継続のために、お客様にホームケアの重要性を伝えることも重要です。
ヘアカラー時におこなう「乳化」の目的とメカニズムを教えてください
- 乳化の目的
- 頭皮・地肌に付着した薬液を、きれいにしっかりと取り除く
頭皮に染まってしまった染料を落とすため、または染毛直後で毛髪表面にある不安定な染料を落としきるために乳化を行います。頭皮・地肌に付いたカラー剤(染料)は、すぐにシャンプーしても落ちにくいですが、ヘアカラーのクリームにお湯等を少しミックスさせて、軽くマッサージすると頭皮・地肌に残っているカラー剤(染料)がなじみ、染料が地肌から落ちます。 - 薬液を再度まんべんなく全体になじませる
白髪染めは、薬液に含まれるブラウンベース(染料)が濃く、頭皮等に汚染しやすいため、カラー後の乳化が必要です。一方、ファッションカラーは、頭皮汚染も少ないので、乳化の必要がない場合が多く、無理に行う必要はございません。乳化は、カラーの薬液とシャンプー剤が混ざることによってカラー剤のクリーム状態をこわします。これにより、髪や頭皮からカラー剤(染料)をすばやく取り除くことができます。
- 頭皮・地肌に付着した薬液を、きれいにしっかりと取り除く
- 乳化のメカニズム
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一般的な方法として染毛後、フェイスラインや頭皮についたカラー剤(染料)と同じカラー剤でもう一度地肌や頭皮となじませるようマッサージを行うことが多いようです。地肌や頭皮に付いたカラー剤は、図1のように地肌についたカラー剤Aと同じカラー剤Bとを、よくなじませることで、地肌に付着した汚れ(カラー剤A)を除去されます。